今日、初めて彼氏の家の合カギを使います

私には付き合って半年になる彼氏がいる。お見合いパーティで知り合ったのだけど、初めて会った時から、彼は私にのめり込んでいた。彼はやや強引にメアド交換をし、やや強引にデートをし、やや強引に告白してきた。私は実を言うと、彼と出会うまで男の人と付き合ったことがなく、お金を貯めるのが趣味みたいなところがあった。お見合いパーティでその趣味を言ったら男性陣からドン引きされているのが伝わってきたのだけど、彼だけは違ったのだ。将来の計画性がある、しっかりしたところが好きだとは、付き合ってから言われたことだ。真面目で堅物な私にはもったいないくらいの爽やかさが彼にはある。イケメンとは言い難いけれど、こんな私を選んでくれるなんてまるで王子様だ。

そんな彼には夢がある。それは南青山の一等地に飲食店を開くことだそうだ。そしてもしそのお店をオープンする際には、私をチーフマネージャーとして雇いたいのだそうだ。今勤めている製版会社のお給料は悪くないし、ずっと働いているのでそれなりに居心地もよいけれど、最近刺激がないなと思い始めていた。だから先日私は会社に辞表を提出してきた。こういうことは思い切らないと前には進めないものだ。彼と一緒にお店を一から作る。そんな想像をするだけで、過去の男性遍歴のないコンプレックスを吹き飛ばすことができるのだから。

そしてその彼と同棲することになった。部屋と家具選びはセンスのいい彼に任せることになった。そして今日、初めて彼氏の家の合カギを使うことになっている。どんな部屋になっているか、サプライズしたいのだそうだ。今まで開店資金と同棲にかかる費用の数百万円を彼に貸していたけれど、彼との将来のためのお金だから仕方ない。いつかそれも報われると信じ、私はこれから彼に会いに行く。朝から何故か彼の電話がつながらないけれど、どんなサプライズが待っているか、楽しみで仕方ない。